コラボレーション
ライトと写真の衝突
気鋭の中国人ライトペインティング・アーティストであるRoy Wangは、ジャガー・ルクルトが展開する芸術的プログラム「Made of Makers」に捧げるため、グランド・メゾンが誇る高級時計製造の精度を光の表現で捉えたライトペインティング・パフォーマンスを、ストップモーション動画1本と写真作品3作に収めました。
作品
極小サイズのライトペインティング・アートが描き出すミクロの世界
このライトペインティング・アートワーク4作の制作は、Roy Wangにとって大きな挑戦となりました。時計製造のミクロ世界と呼応するよう作品を縮小するという課題を果たすため、小型照明器具の完全新開発など大規模な技術的適応を要し、またそれらの器具ほとんどが、ムーブメントの部品と同等に極小サイズとなりました。彼のアートワークの特徴であるダイナミックな動作も、今作品では極小サイズに従って動きも緻密となり、時計職人の精巧な手捌きに倣いすべてのジェスチャーを完全に制御し、また正確に習得する必要がありました。
幻想的なライトペインティング・アートワーク
作品の制作に先立ち、Roy Wangはジュウ渓谷に拠する時計製造のホーム、ジャガー・ルクルトのマニュファクチュールを訪れて精度の追究における多様な側面を観察し、ミクロの世界を探索しました。そこで得た発見と経験、そして彼の起源である中国の伝統からの要素を融合し、ライトペインティングで描き出して3枚の写真とストップモーション動画に捉えました。形、色、ダイナミックなラインを駆使する彼独特のスタイルを、幻想的で視覚を捉える作品で表現しています。
ライトペインティングを魔法とする魅力の一つとして、描かれると同時にすぐに消えてしまう儚い光の残像も、写真を通すと存続できるという永続性があります。
ライトペインティング手法
ライトペインティングとは、光を動かして画像を「描画」し、そのプロセスを通常1分以上、1回の長時間露光でカメラに記録する表現手法です。ストップモーションアニメーション、即ちコマ撮り撮影とは、被写体を1秒間に数十フレーム（コマ）撮影し、その撮影間に被写体を少しずつ動かして繋ぎ合わせ、実際に連続して動いているかのように見せる手法です。
プロフィール
ROY WANG：気鋭のストリートライトペインティング・アーティスト
北京に生まれ、現在も同都市に活動拠点を据えているライトペインティング・アーティスト、Roy Wang（王思博）の作品は、発表後すぐさま国際的な評価を獲得しました。2009年に大学を卒業後、日本でプロラグビー選手として活躍していた時期に写真への興味が芽生えました。ピカソと先駆的な写真家、ジョン・ミリが1949年に共同制作したライトペインティング写真との偶然の出会いが、この斬新で魅惑的な芸術形式に対する彼の情熱に火をつけることとなります。
無明の闇中で、視覚的な指標に頼らず夜の空気を切り裂くようにライトで内に秘める芸術性を描き出すRoy Wangは、空間認識、筋肉の記憶、想像力を頼りに夜闇をキャンバスに、そして光を絵筆として視覚を捉える独創的な画像を描き、その残像をカメラに捉えます。ポップカルチャーのイコノグラフィー（図像）と書道を、中国文化の要素と融合させた作品を通じて、Roy Wangは自分が見ている世界を人々も垣間見ることができるような作品を届けたいと願っています。LichtFaktor、Frodo DKL、Darren Pearsonなどライトペインティングの大御所から授かったインスピレーションを、フリーハンドで描く大規模なライトドローイングを基盤とするスタイルとして確立し、2023年、彼はライトで描画すると同時に巨大画像を最多数作成するアーティストとして、自身のギネス世界記録を塗り替えました。
プログラム
MADE OF MAKERS：創造的表現の再発見
時計製造以外の多岐にわたる分野で活躍するアーティストや卓越した職人たちと一連のコラボレーションを繰り広げる「Made of Makers」は、同じ価値観と創造性のビジョンを分かち合う表現者のコミュニティを構築し、新しい交流を展開しています。
内に秘めるその創造性をそれぞれの技術を駆使して体現する表現者たちに深い賛辞を送るこのプログラムは、メゾンの価値観を共有し、新しい表現の形を探求する創造的な魂に焦点を当てています。
